
先日、映画での格闘シーンなどによく使われている『ワイヤーアクション』に関するテレビ番組を見ていると、制作サイドの人間から、次のような発言を耳にしました。
『ワイヤーアクションなくして、重力を表現する事はできない』と。
なるほど、いかにも名言集に収録されそうなかっこいい言葉だと思いましたが、残念ながら私は次のように思ってしまいました。
『いやいや、ワイヤーアクションこそ、重力を表現できていないでしょ』と。
だいたい、攻撃を受けてはじき飛ばされる軌道が、直線的なのはおかしいです。
ありえない軌道ではないかもしれませんが、そのためには、もっともっと速度が速いか、地球外のもっと重力が少ない場所でなければならないはずです。

身の回りの自然な物体の動きを見ていると、決してワイヤーアクションのような動きにはならない事がわかります。
もちろん、人間離れしたパワーをもっているからありえるという問題でもありません。
しかも、それが一般的に通用しているのだから、不思議でなりません。
そこで私は思いました。
吊ってる感ありありのこの不自然な動きが、人々の頭の中で“普通”になってきているのだと。
何度も何度もこのような映像が目から入り、脳がそれに慣れて、何とも思わなくなってしまったのです。
でも、私は絶対に騙されませんよ。
地球には重力というものがあるのです。
身の回りには空気抵抗もあるのです。
衝撃は速度の2乗に比例するのです。
そこに山があるから登るのです。
愛されるより愛したいのです …マジで。
だから、やっぱり今こそジャッキー・チェンなのです。
今こそ酔拳とか木人拳を見直してほしいのです。
まぁ、それは個人的にジャッキーを好きなだけですが。
そういうわけで、何が言いたいのかと言うと、ワイヤーで吊ってる感ありありの格闘シーンには、もう飽き飽き(それでも見てしまいますが)という事です。
個人的には、巨額の制作費を投じているらしい“ハリウッド版ドラゴンボール”の違和感のなく、自然で、迫力のある空中戦に期待するしかなさそうだな、と思う今日この頃なのです。
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