
パソコンを購入すると、Flash Player が標準でインストールされていたのも今は昔。
スマートフォンやタブレットPCでは、セキュリティ上の問題や、バッテリーの消費を抑えるという理由から、Flash Player をサポートしていないものがほとんどです。
パソコン向けの各インターネットブラウザーも、標準ではサポートしない方針だったりと、ここ数年で、Flash Player は完全に嫌われ者と化してしまいました。
Flash Player の問題点
Flash と Flash Player を混同している人も多いので一応書いておきますが、いろいろと問題視されているのは Flash Player のほうですね。
Flash Player は、ブラウザー上のみで動作するプラグインで、SWFファイルなどをリアルタイムにレンダリングしながら再生させるためのプレーヤーです。
これにやっかいなセキュリティホールが存在していて、過去にもいくつか大きな問題に発展したことがあるため、「Flash Player は危険だ!」というイメージが定着しました。
ネット上では、省略したり勘違いしたりして「Flash」と呼ばれていますが、「Flash オワコン」「Flashフルボッコ」などと言われると、Flash を愛する身としては、心にグサリと来ます。
バッテリーの問題というのは、Flash で作られた動画広告が、スマートフォンなどのバッテリーの消費量を増大させる原因になっているというものです。
それはまぎれも無い事実でしょう。
ただし、Flash で作られた広告を、HTML5 の動画広告に入れ替えたとしても、それが声を大にしてアピールするほどの省電力になるとは、個人的には思えないのですが。
バッテリーの話をするならば、広告は全て静止画にするのが最良の策です。
そもそも広告が動くということ自体が非常に目障りで、それが Flash Player で動いていようと HTML5 で動いていようと、ユーザー視点からすると迷惑な話です。
いずれにしても、最も重要なのはセキュリティ関連であり、セキュリティの問題がいつまでも解決しないのであれば、Flash Player が奇跡の復活を遂げることは無いと思います。
ソフトウェアとしての Flash
ちなみに、Flash のほうは、アニメーションやゲームを作るためのソフトウェアの名称で、Illustrator や Photoshop と同じような制作ツールのことです。
Flash で制作されたムービーといえば、一般的にはウェブ広告が目に付きやすいとは思うのですが、実は Flash で制作されたテレビアニメーションもたくさんあります。
NHKの子供向けアニメや、ラレコ関連のアニメなど、フラットな表現のアニメで使用されるのはもちろん、松本大洋原作のアニメ「ピンポン」のように、作画でグイグイ動くアニメでもFlash が使われています。
つまり Flash は、なにもブラウザー上で動く動画しか作ることができないわけではなく、最終的に表示させる媒体に応じて、さまざまなタイプのムービーファイルを書き出すことができるのです。
例えば…
ブラウザーで再生させるなら、swf形式。
スタンドアロンのタッチパネルなどで利用するなら、exe形式。
Youtube用などのウェブ動画なら、mov や avi形式。
フルハイビジョンの本格的なアニメなら、連番png形式。
といった感じです。
ブラウザー上で遊べるゲームのように、双方向性のあるインタラクティブコンテンツを制作するには、リアルタイムにレンダリングを行なえる機能を備えた、swf形式で書き出す必要がありますが、アニメーションに限定するなら、用途に合わせて最適なものを選択すれば良いだけですね。
ブラウザー用のアニメと、テレビ用のアニメでは、若干作り方が異なるので注意が必要ですが、テレビアニメ用の作り方に統一しておけば、swf形式でも再生できるので、全く問題はありません。
上記の中で、Flash Player と関係しているのは、swf形式のみなので、例え Flash Player が無くなったとしても、他のムービーファイルとして書き出せば良いということになります。
Flash Player の個人的な用途
私の場合は、Flash をアニメーション制作ツールとしてしか使わなくなったので、正直、Flash Player とかどうでもいいんですよね。
いや、どうでもよくは無いのですが、ブラウザー上にて、クライアントに途中経過などを確認してもらうためにしか使っていません。
この作業を、いちいち動画ファイルに書き出してアップロードしたりしていると、ファイルは重いし時間はかかるし…ということで効率が悪いからです。
そう考えると、たしかに Flash Player が消えると、微妙に困るかもしれませんが、代替案はたくさんあるし、ちょっと作業効率は落ちるものの、深刻なレベルの問題というわけではありません。
制作側の都合だけでなく、今後はクライアント側に Flash Player がインストールされていないという可能性もでてくるため、積極的にムービーファイルを使用することにしましょう。
つまり、Flash Player が今後どうなろうと、全く興味ありませんから!知りませんから!プンプン!
個人的に思うところのまとめ
というわけで、いろいろと強がってはみたものの、最後に本音を書いておこうと思います。
やっぱり Flash Player は便利だし、愛着もすごくあるし、インタラクティブなコンテンツを作るうえでは、効率的で優れた開発環境も実現できます。
セキュリティの問題さえクリアーできれば、ホントにいいことばかりです。
たくさんの Flash職人が活躍していた Flash 全盛期は、インターネット回線が遅すぎて、swf形式によるアニメーションしかスムーズに再生できないような時代でした。
今はフルHDや4Kサイズのムービーファイルでもサクサク再生できる時代なので、Flash Player のありがたみは無いですが、当時のイケイケドンドンな時代に影響を受けた者としては、Flash Player の偉大さは揺ぎ無いものです。
そんな Flash Player が、嫌われ者と化しているのはとても悲しいことですね。
もう少し、なんとかならないものですかねぇ…
なんとかならないから、なんともなっていないわけですが。
マクロメディアなら、なんとかなっていたのかなぁ…
個人的に思うところを簡単にまとめると、ウェブ制作者としての立場からは、セキュリティの問題が解決しない限り、swfファイルの使用はやめておく。
アニメーション制作者としての立場からは、Flash Player の今後がどうこうよりも、Flash そのもののアニメーション機能がどう進化していくのか…特にビットマップ画像や、音声ファイルの扱いに関する機能強化など…のほうが興味深々といったところです。
今ではweb界からは嫌われ者ですからね(苦笑
関東圏で10年ほどFlashのバナーから何から作ってきたんですが、ここ二年くらいの風当たりは個人的に厳しいです。
やれることたくさんあるんですけどねー
一時期、トヨタとかの大企業のサイトも、こぞってフルフラッシュのトップページにしていたのが、今となってはウソのようです。
すべては、スティーブ・ジョブズの一声から始まりましたよね。
ジョブズの影響力ってすごかったんだなぁーと改めて思います。