
タムロンの望遠ズームレンズ「SP70-300mm F4-5.6 Di VC USD」を購入してみました。
モデルナンバーである「A005」という名称でも親しまれている、タムロンの創立60周年記念モデルです。
いまさら感はありますが、このレンズを数時間触ってみて感じた使い心地を、個人的な視点のみで書いてみたいと思います。
それと、画質についても検証してみたいと思います。
外観と操作性などについて
今回は AMAZON で購入したので、あの独特の梱包方法で届きました。

この梱包方法を考えた人はすごいですね。
一般的な衝撃吸収材を使用していなくてエコだし、上面と側面からの衝撃が、商品に直接伝わらないようにできています。
・・・と、そんなことはどうでもよく、さっそく箱を開けてみます。
箱の中身は、レンズ本体と専用のレンズフード、取り扱い説明書などが入っています。

フードを取り付けると以下のような見た目になります。

収納時にフードを逆さまに取り付ける際は、レンズ本体との隙間がほとんど無いので、意外とコンパクトに収納できる設計となっています。

鏡筒のつくりはしっかりとしていて、外観の高級感としては、キヤノンのEF-Sレンズと同等といった感じです。
EF-S15-85mm と比べると、ズームリングとフォーカスリングのまわし心地はイマイチですが、ムービーで使わないのであれば気になりません。
AFと手振れ補正の切り替えスイッチは、指などが間違えて当たってしまうと、スイッチが切り替わってしまいそうな感じがします。
キヤノンのように、スイッチの周りが出っ張って、スイッチ本体をスライドさせにくいつくりになっていた方が安心できます。

前玉からレンズ内部を覗いた際、機械的な機構が見えているのは若干気になります。
フォーカス用のレンズが前の方にあるので、どうしてもカバーなどで隠せないつくりです。
描写に影響は無いので、別に気にしないという人にとっては問題無いでしょう。

オートフォーカスの速度については、USD内臓とのことですが、キヤノンのUSMにははるかに及ばない感じです。
モーター音も若干大きめです。
手振れ補正についても、純正と比べるとモーター音は若干大きめですが、補正効果はバッチリです。
300mm撮影時でも、像がピタっと止まってくれます。
手振れ補正機構の考え方は、キヤノンとタムロンでは、はっきりと違いがあるように感じます。
手振れ補正が効いている時は、キヤノンもタムロンも像がピタっと止まっているのですが、ブレが許容範囲を超えた際、キヤノンの場合は像が滑らかに動いてまた止まります。
これに対してタムロンの場合は、像がガっとすばやく動いてまた止まる感じです。
ファインダーを覗いた際の体感的には、タムロンの機構の方が“像が止まっている感”はあるかもしれません。
ただし、手持ちでムービーを撮影する際はこの機構が仇となり、映像が若干カクカクなる感じになってしまいます。
いろいろと欠点ばかりを書き出したようなかたちになってしまいましたが、純正と比べてのことであり、うまく使いこなせば気にならないようなことも多いです。
総合的には、このレンズの外観と操作感には、おおむね満足できています。
外観を見たついでに、キットレンズとして多くの人が所有していると思われる「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」と大きさを比較してみたいと思います。
横に並べてみると、長さ・太さ共に、かなりの違いがあります。

レンズの長さが最長になるようにしてみます。
EF-S 55-250 は、フォーカス時にフィルター枠が回転しながら伸びるので、最も長くなる状態にしています。
伸ばした状態で比べてみると、長さにあまり差は無いようにも思いますが・・・やはり実物を目の前にして比べた感じでは、タムロンの方がかなり存在感があります。

せっかく2本のレンズを準備したので、最後に画質を比べてみたいと思います。
「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」は、値段の割には画質は良いというウワサです。
このレンズを基準にして画質を比べてみれば、「SP70-300mm F4-5.6 Di VC USD」の本当の実力が見えてくるのではないでしょうか。
画質比べ
キヤノンの純正キットレンズとして多くの人が所有していると思われる、APS-C専用設計の「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」と画質を比べてみます。
ちなみに今回の主役「SP70-300mm F4-5.6 Di VC USD」の方はフルサイズ対応レンズです。
対応するセンサーサイズに違いがあるため、レンズの焦点域が若干異なるのですが、2本のレンズに共通する焦点距離である、70mm、135mm、250mmで撮り比べてみます。
撮影場所は室内で、被写体までの距離は約3メートル20センチです。
レンズはどちらもマニュアルフォーカスで、手振れ補正はOFFにして三脚で撮影します。
カメラ側の設定は、絞り優先モードでF5.6に固定、ISOを100、ホワイトバランスを蛍光灯、ピクチャースタイルをスタンダード、画質を1800万画素で撮影します。
撮影した画像は、ブログ用にサイズを変更したりトリミングする以外は、色調補正などの画像加工は一切行なっていません。
70mmで比較
焦点距離70mmで被写体を撮影しました。

実寸大で一部分をトリミングしてみます。

135mmで比較
焦点距離135mmで被写体を撮影しました。

実寸大で一部分をトリミングしてみます。

250mmで比較
焦点距離250mmで被写体を撮影しました。

実寸大で一部分をトリミングしてみます。

結果は明らかですね。
「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」はキットレンズの割にはがんばっていますが、全ての焦点距離で「SP70-300mm F4-5.6 Di VC USD」の方がコントラストが高く、被写体のディテールを詳細に表現できています。
この焦点域のレンズで最高画質を求めるなら、キヤノンのLレンズがありますが、価格や大きさ・重さの問題があるので、現実的な選択肢としてこのレンズはアリだと思います。
手持ち撮影で野鳥を狙ったり、子供の運動会や、カーレースの撮影など、幅広く活躍できるレンズだと思います。
ズームリングの回転方向が、キヤノンの純正とは逆になっていますが、慣れればたいしたことではありません。
私は最初の10秒で慣れました。
ダブルズームキットの望遠レンズで物足りなくなってきた時には、選択肢の一つとしてちょうど良いレンズだと思います。
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