
6月からは、EOS MOVIE での映像制作環境に、ちょっとした変化があるかもしれませんね。
先日、キヤノンから新しい2本の単焦点レンズが発表され、6月頃から販売を開始するそうです。
その2本のレンズというのは、「EF24mm F2.8 IS USM」と「EF28mm F2.8 IS USM」です。

既に長年販売されている「EF24mm F2.8」と「EF28mm F2.8」がリニューアルされて、名前に「II」が追加されるわけではなく、IS(手ブレ補正機構)と USM(超音波モーターでのAF駆動)が採用され、同じ焦点距離の全く新しいレンズとしてデビューするみたいですね。
これらのレンズのおもしろいところは、広角単焦点レンズとしては世界で初めて手ブレ補正機構を搭載しているところです。
そもそも、明るい単焦点レンズで、さらに手振れが起きにくい広角のレンズに、手ブレ補正機構が必要なのかという、おちゃめな疑問が浮かんできます。
もちろん手ブレ補正機構があるに越したことは無いのですが、コストパフォーマンスと画質を犠牲にしてまでも必要なのかということです。
私の答えとしては YES!です。
これまでの、写真のみの用途で使うのであれば、ほとんどのシチュエーションで必要なさそうですが、EOS MOVIE で映像制作をするのであれば、手ブレ補正機構が大きなアドバンテージになるといえます。
画質を求めるならズームレンズは使うなという話になりそうなので、ここでは単焦点レンズ限定で話を進めます。
プロモーションビデオの制作などで、ぼかしを活かした映像表現が必要な場面では、やはり単焦点レンズが活躍しますね。
キヤノンの単焦点レンズの中でも、Lレンズともなれば、その描写力は写真での画質では最強でしょう。
それではムービーでの画質に関してはどうかというと、EOS MOVIE では、まだまだ発展途上な部分もあるにはあります。
まぁ書き出せばきりがないのですが、そのほとんどはカメラ側の問題で、特にCMOSセンサーの負の特徴をなんとかすれば改善できそうなことが多いです。
ところが、レンズ側の欠点というのもあるにはあるわけで、その代表格が、広角単焦点レンズには手ブレ補正機構が付いていないことです。
手ブレ補正機構の付いていない単焦点レンズで、ムービーの手持ち撮影をしてみるとわかるのですが、腕の微妙な震えがダイレクトに映像に伝わっているのがよくわかります。
手ブレ補正機構が搭載されることで、今までは三脚での撮影を余儀なくされていたような場面でも、積極的に手持ち撮影ができ、例えばドキュメンタリータッチな映像表現がほしい場面などで活躍しそうです。
このようなレンズがラインナップにあることで、今後の撮影スタイルにも少なからず影響があるのではないでしょうか。
いやいや、ムービーに関しても、どうしてもLレンズの最強画質が必要不可欠だというのであれば、手振れを起こしながらがんばって撮影に挑むのもありですが、単焦点Lレンズではない、いわゆる並単でも、ムービーに関しては十分すぎるぐらいの映像が手に入ると思います。
そもそも、フルハイビジョンの映像が鮮明だといっても、所詮は1920px×1080pxで、ざっと計算すると約200万画素。
最近のデジタルカメラでは、2000万画素前後のものが多く、フルハイビジョンの解像度と比べると、約10倍となります。
フルハイビジョンの4倍の解像度を持つ4Kと比べても、2倍以上の解像度です。
並単といえども、そのような超高解像な画質を要求されるようなジャンルで使用されているわけで、光学性能に関しては十分すぎると考えても良いのではないでしょうか。
今回の2本のレンズに関していえば、F値が2.8と、単焦点レンズとしてはやや暗めですが、ムービー用のレンズと考えれば、十分で扱いやすい明るさです。
となると、F2.8通しのズームレンズでも、画質的には許容範囲なのかもしれませんが、収差など問題があるので、ズーミングなどの表現が必要無い部分であれば、やはり単焦点レンズに軍配があがりそうです。
その焦点距離のみに特化しているレンズの強みですね。
というわけで、本格的な映画の撮影ならシネマレンズの登場となるのかもしれませんが、自主制作映画などでの使用であれば、「EF24mm F2.8 IS USM」と「EF28mm F2.8 IS USM」はかなり使えるレンズです。
いずれにしても、この2本のレンズは、EOS MOVIE を意識して開発されたレンズといえますよね。