2011年06月14日

オープニングムービー制作の裏話。

Flash制作画面

J:COM福岡さんで放送されている番組、「Hometown福岡」が、4月からリニューアルされ、MCさんやリポーターさんも新しくなりました。
リニューアルついでに、番組オープニングも新しくなったのですが、そのオープニングムービーの制作を、なぜか私が担当させていただいたので、企画から制作までのちょっとした苦労話などを書いてみようと思います。

 
 

ムービー制作の依頼を受ける事に


オープニングムービーを制作させていただく事となったきっかけは、番組の美人統括ディレクターで、東峰村のアイドル村民でもあるAmiさんから電話があり、「作って♪」と言われたからです。
内容は全ておまかせという事だったので、アニメーションにすることにしたのですが、アニメーションなりのデメリットというものもあり、なかなか大変な作業になりました。
どういった部分が大変だったかというと、ひと言で言えば、制作時間が無かったということです。
アニメーション制作のためにはイラストをたくさん描かなければならないため、良い脚本が出来上がったとしても、それを制作するだけの時間が無ければ、せっかくの脚本も台無しになってしまいます。
ただ、アニメーションの仕組みやイラストの作風を吟味することで、短時間で制作できるアニメーションもあるはずだと自分に言い聞かせ、とりあえず制作に挑んでみたのでした。

使用ソフトと作風の選択について


まず、一番最初に脚本を考えることをやめました。
今回は、どれだけ短時間で制作できるアニメーションにするかが最大のポイントになります。
繰り返しになりますが、良い脚本が出来上がったとしても、制作が間に合わなければ元も子もありません。
それに加え、単なる手抜き作品になってしまってもいけないわけで・・・
そうなってくると、まずはどのようなソフトを使用して、どのような作風にすればよいのかが必然的に決まってきます。

使用するソフトに関しては、アニメーションを効率良く作成することができる「Adobe Flash」に決定です。
以前の記事(改めて、Flashアニメーションの魅力にこんにちは!)の中でも書きましたが、モーショントゥイーンという便利な機能を使えば、アニメーションの中間の動きを自動的に作成してくれるので、制作時間の節約につながります。
イラスト自体も、Photoshopなどで描くのではなく、Flashの中で、ペンタブレットを使用してガンガン描いていく戦法にしました。

次に、どのような作風にするかを考えました。
Flashといえども、キャラクターの細かい動きには、フレームアニメーション(パラパラアニメーションのような考え方)を使用するため、たくさんのイラストを描かなければならなくなります。
今回は、テレビ用のアニメーション素材を制作しているので、フレームレートは30fps(1秒間に30枚のイラストを連続で表示させるということ)となり、最大で1秒間に30枚ものイラストを描かなくてはならなくなります。
これでは制作時間がいくらあっても足りません。

そこで、たくさんのイラストを描かなくても、違和感無くアニメーションさせるための作風を考える事にしました。
最初に思い付くのは、切り絵風のイラストレーションをトゥイーンで動かすという手法です。
切り絵風のイラストなら、絵柄がアニメーションしないのが当然なので、1枚だけイラストを描いて、それをひたすらトゥイーンで動かすという戦法が使えます。
その他にも、何かいいアイディアはないかなぁと考えたのですが、なんとなく思い浮かびそうになかったので、さっそくこの案で突き進む事にしました。

脚本の作成について


通常の流れとは順番が逆ですが、ここから脚本を考えていきます。
まず、MCさん1人とリポーターさん2人の似顔絵を描き、それで切り絵風のキャクターを作りました。
ここからどのような構成にしていくかを考えたわけですが、とりあえずドリフ的な発想で、キャラクターが左右に適当に動き回ってハチャメチャな感じになった後、たくさんの人達が現われて賑やかになり、最後に番組のロゴマークが表示されてめでたしめでたし・・・で行こうと決めました。

校正作業と納品について


制作はFlashのみで行なうので、校正作業はWeb上で簡単に済ませる事ができます。
SWFファイルにパブリッシュして、校正用の適当なサーバーにアップロードするだけですからね。
ブラウザーで校正作業ができるというのは、お互いに負担が少なく、効率の良いスマートな方法だと思います。
しかもベクターデータの恩恵もあり、画質も最適な状態で確認ができるというメリットもあります。
構成作業と修正作業を1〜2回行なった後、OKサインが出たので、最終的に動画ファイルで納品して完了しました。

ちなみに、完成した作品は以下のようなものです。
(※再生すると音が出るので注意です!)




納品後は緊張から開放されたせいか、炎殺黒龍波を放った後の飛影のように、深い眠りに入りました。
Amiさんをはじめ、ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

Flashでのアニメ作成機能について


最後に、Flashというソフトについても少し書いてみようと思います。
Flashは、Webやテレビやモバイルなどで表示させるためのアニメーションを、スムーズに制作するための便利な機能がたくさん詰め込まれていて、とても魅力的なソフトウェアです。
Flashを、Webアプリケーション開発ソフトとしか思っていない人達や、一部のiPone信者の人達が、Flashというソフト自体の存在を否定している記事を見かけたりしますが、Flash Playerでは、Flashの一部の機能を見ているに過ぎません。
AdobeCSの製品バリエーションをみても、「WEB PREMIUM」だけでなく、「DESIGN PREMIUM」、「PRODUCTION PREMIUM」の全てのパッケージにFlash Professionalは同梱されていて、Web制作に携わる人達、印刷業界に携わる人達、映像制作に携わる人達など、各業界の人達が、必要に応じて最適な使い方をしています。
今後、Flash Playerが消えていくのかどうかはわかりませんが、アニメーション制作ツールとしてのFlashは、これからも発展していくことと思います。
小学校や中学校でも、WordやExelだけでなく、Flashで簡単なアニメーションを作って遊ぶような、クリエイティブな感覚を養う授業を採用すれば、もの作りの楽しさに目覚める人達がもっと増えるのになぁ・・・と勝手に思っているところなのです。

Adobeには、もう少しがんばってもらわないといけませんね。
アクションスクリプトが難しいものになっていけばいくほど、プログラマーの領域に入っていき、最終的には彼らがHTML5を選択するというハッピーストーリーが目に浮かびます。
私にとっては、そのような陣取り合戦はどうでもいいので、とにかくFlashを、もっとアニメーション制作に適したソフトに改良してくーださーい!
というのが心からの願いです。



関連するオススメ記事
ダイハツのウェブ漫画などなど。
ロトスコープで作画するメリット。
ARで動くキャラクターアニメーションを制作。
Flash CS5 で作る4Kアニメーション。
改めて、Flashアニメーションの魅力にこんにちは!
この記事へのコメント
今度教えてください・・・・ね!(笑)
Posted by 山登屋 店主 at 2011年06月14日 08:33
>店主さん
そうですね。前回はエアブラシの話がメインでしたので、今度はパソコン関係の話もゆっくりとしたいですね。
Flashの楽しさをお伝えできればと思います!
Posted by a2me at 2011年06月14日 23:42
やっぱりヒロさんはすごいですねえ!

ただの〇〇図鑑の所持者ではないのは確かです!^^

尊敬してるよ^^
Posted by ひで at 2011年06月15日 22:51
>ひでさん
褒められているのかどうか微妙ですが・・・
ありがとうございます!
Posted by a2me at 2011年06月16日 04:27
屋。。。やべえ!!!すごいっす!!!

図鑑もすごいけど!!!
Posted by めい at 2011年06月17日 17:44
>めいちゃん
べ・・・べつにすごくないですよ!
図鑑もコレも・・・
Posted by a2me at 2011年06月18日 19:32
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。