2010年08月13日

もみじマークにまつわるエトセトラ。【前編】

もみじマークにまつわるエトセトラ

最近、もみじマークの今後の行方が妙に気になってきたので、そのことについて少しだけ書いてみようと思います。

もみじマークとは、高齢運転者を見分けるために、自動車のボディに表示させる標識の事で、ウィキペディアの高齢運転者標識の項目にも詳しく書かれています。
反射神経の衰えてきた高齢運転者が安全に運転できるよう、もみじマークを表示してある車両に対しては、幅寄せや割り込み運転をしないように、周りが注意をして運転しなければなりません。
つまり、もみじマークを表示してある車両へは、若葉マーク(初心者マーク)を表示してある車両と全く同じルールが適用されるというわけです。
このようなルールは、安全上とてもいい制度ですよね。

 
ところで、この「もみじマーク」が、もみじではなくなる可能性が出てきました。
というのも、もみじマークの“デザイン”に対して、一部の高齢者が猛烈に反発しているようなのです。
その理由は、「枯れ葉」や「落ち葉」のように見えるから・・・という事らしいです。
皆さんもご存知のように、現在のもみじマークのデザインは以下のようなものです。
もみじマーク

私はすばらしいデザインだと感じるのですが、確かに枯れ葉や落ち葉に見えなくもないですね。
そのような背景を受けて、警察庁は新たなデザインの代替案を公募し、もみじマークのデザイン変更を検討することにしました。
すでに新しいデザイン4案が候補に上がっていて、それに現行のもみじマークを含めた5つの案の中から、新デザインが決定されるようです。
多額の税金を投入して、そこまでしなければならないのかと、ちょっと驚きもあるのですが、もみじマークを付けなければならない高齢運転者・・・もとい、ベテランドライバーとしては大切な問題ですからね。
以下の画像は、現行のもみじマークも含め、新デザインの候補となっている5案です。
新デザイン案

いろいろな案が出揃ったようですが、ここで疑問も湧いてきます。
そもそも、「もみじマーク」は「若葉マーク」と全く同じルールが適用されるので、どちらか一つで代用できるのではないかという事です。
例えば、高齢運転者は、「若葉マーク」を上下逆さまにして装着するだけでもいいんじゃないの?という事になりそうですが、それはそれで、「運転暦60年間のワシを初心者扱いするな!」という反発が出てきそうです。
そこで、ベテランドライバーらしい専用デザインを考えなければならないという結論に至っているのかもしれません。

私の個人的な感覚としては、現行のもみじマークはとてもいいデザインだと思っています。
高速で移動し、さまざまな車体色もある自動車やバイクに表示させる標識なので、単にかっこいいデザインにすればいいというわけではありません。
候補案の中には、明らかに目立たないデザインもありますが、高齢運転者の安全を確保することが本来の目的なわけですから、本末転倒にならないように注意する必要があります。
そのような考えを前提として、このブログの本来の趣旨である「デザイン」の観点から、現行のもみじマークのデザインが、どれほど標識として優れているかを考えてみたいと思います。

私が考える、現行もみじマークの優れた部分は、以下の3点です。

・世の中に浸透している「若葉マーク」と統一感のあるデザインで、標識として認識しやすい。
・どんな車体色の車両に表示させても、目立つカラーリングとなっている。
・感覚的に、高齢者が運転している事を連想させるデザインである。


上記の3点について、詳しく考えてみましょう。

標識としての認識しやすさ
運転免許を取得してすぐにペーパードライバーになる人を除いては、殆どの人が「若葉マーク」のお世話に一度はなるのではないでしょうか。
つまり、若葉マークのデザインは、かなり世の中に浸透しているわけです。
その既存のマークと統一感を持たせたデザインにする事で、違和感無く標識として受け入れる事ができます。
車にペタペタ貼ってある普通のステッカーなどとは違う、“標識らしさ”があると思います。

どんな車体色に対しても目立つカラーリング
自動車の運転中は、常に周りの交通状況は流動的です。
つまり、標識としては、視認性が最も重要な要素となるため、単に静止画の状態でかっこいいからというような理由では、良いデザインの標識とは言えません。
また、世の中にはさまざまな車体色の自動車があるため、一般的な車体色(白、黒、赤、シルバーなど)以外の自動車に表示させても、目立つような配色にしなければなりません。
これは、若葉マークにも言える事ですが、現行デザインは殆どの車体色に対して目立つようなカラーリングになっていると思います。

高齢者を連想させるデザイン
今回、問題となっている部分はこれです。
現行案は、感覚的に「枯れ葉」や「落ち葉」を連想してしまうデザインとなっているため、一部の高齢者から反発が出ているようです。
でも、感覚的・直感的にどう感じるかといった部分は、デザインする上で非常に大切な部分であり、そのように見えるのは、しっかりと伝わるデザインが出来ている証拠だと思うのです。

人間の感覚には、色や図形に対して共通のイメージがあります。
例えば、赤い色は温かく感じ、青い色は冷たく感じます。
また、丸い図形は柔らかく感じ、三角の図形は硬く感じます。
これらの色や図形に対する感覚は、人類共通のイメージです。
人類がこのような感覚を持つ理由は、赤い色の火は温かいし、青い色(空の色を反射している)の海や水溜りは冷たいなど、自然を生き抜くための本能的な感覚です。
これらの本能的に感じる感覚をデザインに取り入れる事は、直感的に何かを伝えるための、視覚伝達デザインでは非常に重要な要素になってきます。
そのような考えからすると、現行デザインが「枯れ葉」や「落ち葉」に見えてしまうのは、デザイナーが狙った通りの、本能に訴えかける秀逸なデザインであるというところが本音だと思います。
オーシャンブルーのさわやかなカラーリングでデザインをされても、高齢者が運転しているイメージは全く湧かないんですよね。
現行デザインであれば、一瞬見ただけで、お年を召した方が運転されているんだなと、なんとなくわかるわけですよ。
もちろん「枯れ葉」や「落ち葉」という言葉を、前面に押し出すような事をしてはいけません。
建前上は「もみじ」という事にしておかなければならないのは当然のことで、それで全てが丸く収まるはずだったのではないでしょうか。
見て見ぬふりをすればいいだけの本音の部分を、わざわざ指摘するから面倒な事になっているだけです。
もみじマークが枯れ葉や落ち葉に見えるという理由だけで猛烈に反発している人の意見は、免許を取ったばかりの若者が、「俺は免許取り立てだけど、運転は超うめぇんだから、運転が下手だと思われそうな若葉マークのデザインって、変えたほうがいいんじゃね。」と言ってしまう状態と同レベルだと思います。


考え方は人それぞれですから、何事に関しても、全ての人が満足するような結果には収まらないというのはよくわかります・・・
ただ、一部の反対派の人達が発言する意見だけが、常に反映されていくような世の中にはなってほしくないです。
つまり、幼稚園の演劇発表会で、桃太郎が10人もいるような異様な光景は、見たくないという事です。
肯定派の人達は、わざわざ声を大にして発言しないというだけなのですから。



さてさて、もみじマークのデザイン変更を検討するために、既に新たな4案が提出され、現行マークを含めた5案の中から1案が選ばれます。
そこで、実際にどのマークが標識として最も適したデザインとなりうるのか、簡単な合成画像を使って検証実験をしてみたいと思います。
が、文章が長くなってしまったので、今日はここまでという事で。この続きは次回のエントリーにて。

続き>>もみじマークにまつわるエトセトラ。【後編】


posted by a2me at 13:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | アイディア・個人的妄想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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