2010年08月01日

アリエッティに会いました。

借りぐらしのアリエッティ

スタジオジブリの最新アニメーション映画「借りぐらしのアリエッティ」を観てきました。
作品の公開から、しばらく時間が経ってしまいましたが、やっと映画館へ足を運ぶ事ができたので、遅ればせながらのエントリーです。
物語の内容については詳しく書きませんが、今の感情を忘れないよう、個人的な感想などを書き留めておきたいと思います。

映画を観終わっての全体的な感想としては、うまくまとめられた良い作品でした。
インターネット上での評価としては、結構酷評されている感もありますが、それは相当期待されていたからこその評価ではないでしょうか。
脚本に関しては、確かに賛否両論ありそうですが、個人的にはなかなか良く考えられたストーリー展開だと思ったし、映像のクオリティに関してもかなりレベルの高いものでした。
ジブリ作品であるとは考えずに、作品単体を純粋に評価するなら、かなり完成度の高い作品になるのではないかと思います。
ただ、私も残念だったと思える点が3つだけありました。
かなり個人的な感覚での評価になってしまいますが、その3つは以下のような点でした。


その1:キャラクターの魅力
今までのジブリ作品に登場する女性キャラクターは、いろんな意味で魅力的な女性に描かれています。
サンには萌えたし、シータは永遠のアイドルだし、ナウシカは尊敬するし、特に原作は尊敬するし、ウルスラはデッサンうまいし、ソフィばあさんは動作がかわいいし、雫は原石の才能が輝いてるし、ハル(猫の恩返し)のノー天気さには憧れるし、ジーナは歌うまいし・・・
ジブリ作品の女性キャラクターって、個性が強くて性格がわかりやすく、どこか気になる魅力があるんですよね。
だけどアリエッティは、他のキャラクターと比べてみると、若干魅力が薄い気がしました。
私は、なぜかアリエッティには恋することが無かったんですよね。
その足りない魅力が何なのかは、うまく説明ができないんですけど、アリエッティの性格(個性)をうまく理解する事ができなかったのかもしれません。

その2:映像の残像
風景の映像が、パン(画面の左右のスクロール)&チルト(画面の上下のスクロール)する場面が何箇所かあるのですが、1秒間あたり24コマしか表示されない残像バリバリなスクロールシーンは、かなり眼にダメージが来るため、風景をパンで魅せる部分はフィックス(固定画面)でも良かったのではないかと思いました。
せっかく綺麗に描きこまれた風景画を、まともに見る事ができなかったのは非常に残念でした。
ただ、これは映画特有の問題なので、DVDやブルーレイでは綺麗に再生されると思いますけどね。

その3:意外性
ストーリー展開が全て読めるというわけでは無いのですが、度肝を抜かれるような意外な展開になる事はなかったです。
映画のエンターテイメント性を重視するなら、息をするのも忘れるぐらいの大きな見せ場というものが無かったのは少し残念だったと言えるかもしれません。
ただし、それ以上に情景の見せ方や、淡々と進行するストーリーの“雰囲気”はとても心地良いものでした。
小さな小人さん達の世界では、このような方法で生活を送っているだろうといった、生活の知恵的なものに妙に納得したりして、それはあたかもドキュメンタリーを見ている感覚といえるかもしれません。
ただ、その「納得」してしまう瞬間が、作品の勢いを阻害しているのかもしれません。
この作品が、もしも毎週連載のテレビアニメーションなら、必ずしもマイナスポイントにはならない部分なんですけどね。



そういうわけで、個人的に残念に思った箇所を3つだけ書いたのですが、逆に言えば、それ以外の部分はとてもすばらしかったという事です。
特に、物理の法則に沿った物体の動きの表現はおもしろかったです。
例えば、お茶を淹れる時の、水の表面張力の表現は良く出来ていたし、人間と小人の質量の差からくる重力表現の違いも良く出来ていました。
小さな生き物は、高い所(体の大きさと比較して)から落ちても平気だし、自分の体重を軽々と支えられるので、高い壁もスイスイ登っていく事ができるわけですよね。(参考資料:蟻は高いところから落ちても死なないのはなぜか)
普通の人間が同じ行動をとったら、足を骨折してるだろうと思えるシーンもたくさんあったので、納得しながら観賞しました。

それから、繰り返しになりますが、絵の描写力という点では申し分無い作品になっています。
アリエッティのディレクションを担当した米林監督は、「ジブリでいちばん絵がうまい!」という事らしいですが、なるほど確かにうまかったです。
ただ、宮崎監督の描くキャラクターと比べてみるとどうでしょうか。
静止画のクオリティでは互角かもしれませんが、キャラクターがアニメーションする時の“躍動感”という点では、やはり宮崎監督の描画に軍配が上がると思います。
もちろん宮崎監督というのは、「吾朗」ではなく「駿」の方ですからお間違い無く。
なにはともあれ、絵を描ける人が監督をするのはいい事ですね。
押井守監督と宮崎駿監督が対比される事はよくあるのですが、やはり、絵の描けない人が監督をするよりも、絵の描ける人が監督をする方が、作品に命が吹き込まれた感じがします。
作品の描画にこだわりすぎて制作時間が無くなり、自分の首を絞める事になったりもしそうですが。
そういう意味では、同じジブリ作品の中で比べても、ゲド戦記よりもアリエッティの方が圧倒的にすばらしい作品に仕上がっていたのは確かです。

その他の見どころとしては、ジブリ作品としては珍しく、本当に悪人のキャラクターが登場した事でしょうか。
今までのジブリ作品では、心の底から憎いと思えるキャラはいなかったのですが、アリエッティに登場する世話役のハルさんは、本当に性格の悪いキャラクターですからね。
このハルさんの性悪キャラクターっぷりは、かなり見ごたえがありますよ。
また、今回の作品の中では、主人公が空中で平泳ぎをしたり、地面が崩れながら走り抜けるシーンが無かったのは残念ですが、さすがにそれは宮崎監督しか手を出してはならない領域なので、仕方が無いでしょうね。

そんなわけで、この「借りぐらしのアリエッティ」という作品に関しては、確かに何か物足りない感じはするものの、個人的にはかなりの良作ではないかと思います。
こうして文章を書いていても、もう一度観てみたいという思いがふつふつと沸いてきてますからね。
これって、いい映画だったという事ではないかと思うのです。
宮崎&高畑監督以外が監督を務めるであろう、今後のジブリ作品にも期待が持てるのではないでしょうか。


ちなみに、これから「借りぐらしのアリエッティ」を観に行こうと思っている人で、「もののけ姫」的な作品を期待している人は、やはり物足りなさを感じるかもしれません。
冒険活劇ものが好きな人は、金曜ロードショーでの放映を待つというのもアリかもしれません。


P.S.
私は、「ミロ」とか「クリープ」の粉をスプーンで食べるのが好きなのですが、最近はどうも粉の減りが早いような気がしてならないんですよね。
さては床下に住んでいる小人さん達が、こっそり借りていってるのかもしれません。
借りるのはいいですけど、いつか返してよね。


posted by a2me at 03:51 | Comment(4) | TrackBack(0) | 各種レビュー記事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
相変わらず鋭いコメントですね〜^^

スプーンおばさんを思い出しました!


粉を舐めて小人のせいにするなんて5〜6年前の俺みたいですね!

Posted by ひで at 2010年08月01日 09:55
> ひでさん
コメントありがとうございます。

> 粉を舐めて小人のせいにするなんて5〜6年前の俺みたいですね!

そうですね、思い出しました。
ひでさんは、チョコエッグを食べ過ぎて体重が増えてしまったのを、何回も出てくるミニチュアダックスのせいにしてましたからね(笑)
Posted by a2me at 2010年08月02日 07:06

最近はシアターを利用することが少なくなってしまって・・。自宅のTVでDVDを鑑賞しています。

なかなか時間をうまく利用できないのが悩み(><)
今回は a2meさんのコメントを参考にしながらゆっくりと観てみたいと思います★

私はすぐ主人公になりきってしまうので(笑)感情移入が激しい?かもしれませんネ

ブルーレイ画像は綺麗ですよねぇ(*^_^*)

PS:そうそう私も、ミロ・クリープ大好きです♪
ミロは驚くほどたっぷり粉を入れてミルクでいただきます。クリープはミルク味が濃くて美味しいデス!(^^)!
ある日、小人さんがカップに浮かんで笑っているかも?♪

Posted by maehara at 2010年09月13日 14:43
maeharaさんは、映画の中の主人公になりきってしまう、なりきり派なんですね(笑)
私もその傾向があるので、ダイ・ハードやオーバー・ザ・トップを観るとかなり疲れてしまいます…
でも、映画を客観的に観る人と比べると、同じ映画でも2〜3倍は楽しく観る事ができるのではないかと思うので、絶対に得していると思いますよ!!
Posted by a2me at 2010年09月13日 19:28
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